REPORT

カワモクの風

2010年1月 新春を迎えて

あけましておめでとうございます。
弊社141回目の幕開けに心より感謝申し上げます。
世の中のすべてが急速に「変化」している今、真にお客様が求めている商品サービスをお届けできるよう、社員と共に学び合い助け合いながら更に「変化」していかなければと改めて意を強くしております。それには「不変」のぶれない軸をもって変化する、即ち仕事の原点を問うことからすべてが始まると思います。
昨年暮れ、ある経営塾の企業視察にて日本理化学工業という社員数70名ほどのチョークづくりの会社を訪問したときのこと、仕事への熱意と社員一丸となった「絆」を肌で感じ心を打たれました。実はなんと社員の7割近くが知的障害者の方々であり、まさに支え合いながらこの厳しい環境下を乗り切っている会社です。
現会長さんが26歳の時、養護学校の先生から二人の生徒さんの就職を頼まれたことに始まり、一時的に預かることを条件としたそうですが、二人の仕事に対する真摯な姿に同寮社員から「私たちが協力するから継続雇用してほしい」と懇願され本採用に至ったとのことでした。お二人は、わき目もふらず一心不乱に作業に打ち込み、休息のベルが鳴っても手を休めようとしない彼らの姿に、会長さんは不思議でならなかったそうです。「工場でつらい思いをして働くよりも、施設で過ごした方がよっぽど幸せなはずなのに、なぜ、こんなにも夢中になれるのだろう」と。
そして、あるとき会合でお会いしたご住職に尋ねたところこう答えたそうです。
「人間の究極の幸せは4つです。その1つは人に愛されること、2は人にほめられること、3は人の役に立つこと、4は人に必要とされること。働くことによって愛以外の3つは得られる、障害者の皆さんが施設で大事にされるより、企業で働きたいと願うのは、社会で必要とされて本当の幸せを求める人間の証です」と。
「人間の幸せは働くことによって手に入れることができる」
会長さんは、この真理に初めて気づかされ「働く」ことの本当の意味を知り、今日までずっと、「人はいかに生きるべきか、大切なものは何か」といったことを彼らに教えてもらい、何よりも彼らのためにと考えることが自身の力になって今があると伝えてくれました。そして、お話の最後にいただいた言葉が今でも私の心に生きています。
「私は仕事で愛までも得られると思う。なぜならば相手を理解し思いやり、同じ目標に向かって力を合わせ共に乗り越えることによって、愛し愛される関係が生まれるのだから」と。
私たちは、その「働く」ことの原点を見失うことなく、感謝の気持ちをもって「変化」し続けて参ります。本年も何卒ご指導ご支援のほど宜しくお願い申し上げます。