REPORT

カワモクの風

2011年3月 「クロスケの家」竣工!

「儲からない仕事なのに本当にご苦労さまでした」
帽子をかぶった白髪の優しそうなおじさんから労いの声をかけられました。よく見ると、な、な、なんと本物の宮崎駿監督ではありませんか!「表舞台」からは想像できない素朴で控え目な人柄に驚きました。
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世界的に有名な「となりのトトロ」の舞台である狭山丘陵、この地は昭和40年代から度重なる開発計画が浮上してきましたが、地権者をはじめ、行政、地域住民、そして今回発注者の財団法人トトロのふるさと財団の皆様が用地買収など絶え間ない保存活動により自然と文化の「伝承」がなされています。
その中の「クロスケの家」の再生事業を縁あって弊社が施工し、この度竣工を迎えました。この「クロスケの家」は明治期に建てられた築100年以上経過している製茶業の農家の屋敷で、約50年前に越生からこの所沢三ヶ島の地に移築されたものです。外壁は押縁下見板張りと漆喰塗り仕上げを組み合わせたもので、母屋には33㎝角の大黒柱を有した大変趣のある民家です。
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材木屋としての創業以来、木の目利きと匠の技を「伝承」してきた弊社と職人さんたちのプロジェクトにより、無事に再現に至り感無量であります。
これまでこの事業に携わった多くの人々の思いや尽力があってこそ、お金では買えない宝物が保存できるという現実、改めて華やかな「表舞台」の裏には、それを支える数多くの想像を超えた地道な努力の積み重ねがあるのだと実感しました。
そして竣工当日、思いがけない監督との対話、束の間、式典の「表舞台」に立たせていただき、まさに「いいとこ取り」です。日頃、社員や協力会社、取引先の皆様に支えられての今の舞台があると感謝に堪えません。
ちなみに「いいとこ撮り」は担当のH川課長撮影です。
これからも、私たちは日々地道な努力を惜しまず、いつの時代にも変わることのない大切なものを伝承して参ります。